パンダでもわかる量子コンピューティング「量子ゲート型」
アルゴリズム(計算方法)に基づき、量子ビットを操作します。「ゲート操作」といわれその組み合わせによって回路を構成し答えを求めます。
量子ゲート型について
ゲート型は、量子ビットの重ね合わせ状態を制御するために量子ゲートと呼ばれる操作を組み合わせて計算回路を構築し、様々な問題に対応できる汎用的な方式です。量子ゲートは、量子ビットの状態を変化させたり、量子ビット同士の相互作用を行ったりすることができます。ゲート型の量子コンピュータは、量子アルゴリズムと呼ばれる特殊なプログラムを実行することで、従来のコンピュータでは解けない問題や、解くのに非常に時間がかかる問題を高速に解くことができます。例えば素因数分解や機械学習、量子化学計算などがゲート型の量子コンピュータの応用例として挙げられます。
「アダマルゲート」
「0と1が重なった」状態を作ることができるゲートで「アダマールゲート」といいます。
重ね合わせ状態
「測定」
最終的に出てくる答えを「測定」する記号です。
計算結果を得る
「CNOTゲート」
ある量子ビットが別の量子ビットに影響を与えるゲートです。影響を受けると0だったビットが1に反転するといったことが起きます。量子ビット同士を「もつれさせる」働きを持つゲートで「CNOTゲート」といいます。
「Xゲート」
一般的なゲート型量子コンピュータは以下のようなものがあります。
Google の Sycamore
Googleは2019年に、53量子ビットのゲート型量子コンピュータSycamoreを用いて、古典コンピュータでは解くのに1万年かかると推定される問題を200秒で解いたと発表しました。これは、量子コンピュータが古典コンピュータに対して圧倒的な優位性を示す「量子超越性」を達成したとされています。
IBM の IBM Q System One
IBMは2019年に、20量子ビットのゲート型量子コンピュータIBM Q System Oneを発表しました。これは、商用利用を目的とした初の量子コンピュータであり、IBMのクラウドサービスを通じて一般に公開されています。IBMは、IBM Q System Oneを用いて、金融、医療、エネルギーなどの分野での量子コンピュータの応用を開発しています。
Microsoft の Azure Quantum
Microsoftは2020年に、Azure Quantumという量子コンピュータのクラウドサービスを発表しました。Azure Quantumは、Microsoft自身が開発中のトポロジカル量子コンピュータを含む、複数のパートナー企業の量子コンピュータを利用できるプラットフォームです。Azure Quantumは、量子コンピュータのプログラミング言語であるQ#や、量子コンピュータのシミュレータなどのツールも提供しています。