リスク管理

発生前の問題を未然に防止すること、つまりリスクの段階で対応すること。

リスクを記述することができたら、問題の発生確率を下げるか、発生時の被害を小さくする観点で対策を検討する。単にリスクを明確にするだけでなく、検討した対策が取られていることを継続的に確認することで効果的なリスク管理を行うことができる。リスク管理が行われている状態とは、発生後の問題と同様に優先して未然防止に取り組んでいる状態である。

効率的に製品開発を進めるには問題を未然に防止することが重要であるという認識が一般化し、フロントローディングの必要性が理解されている。一方で、現実には発生前の問題への対策が優先されにくいのも事実である。そのため、開発リスクを漠然と抽出するだけでなく、なるべく細かく分解し、リスクを具体的に記述することから着手するべきであろう。開発者全員でリスクに対する共通の認識を持つことができたら、問題の発生頻度(確率)と重篤度(被害のインパクト)をもとに優先順位づけし、継続的に管理する。

例えば、「発火する」というリスクを未然に防止するには、発火する部位別あるいは発火する原因別に記述する。「コイルの発火」あるいは「ショート」、さらには「コイルのショート」といった具合に記述することで、優先順位づけや、対策が可能になる。その際、過去を振り返り、問題発生事例集(一般に"過去トラ")を活用することは言うまでもない。さらに、未経験の問題についても、製品の成り立ちを可視化することでリスクを抽出することができる。