アクシオン

axion

冷たいダークマターの候補となる素粒子の一種。量子色力学(QCD)におけるCPの破れの問題を解決するために導入された粒子である。ここで、Cとは電荷の符号を反転する変換、Pとは空間座標を原点に対して反転させる変換である。実験的に確認された物理法則は高い精度でCP変換に対して対称であることが知られているが、この理論でそれを実現するには、クォークの質量行列の位相角と、理論自体がもともと持っているCPの破れのパラメータが高い精度で相殺していないといけないので、不自然である。ペッチャイ(R. Peccei)とクイン(H. Quinn)はこれを新たに導入した対称性によって説明することに成功したが、その際に現れるのがアクシオンである。アクシオンはボース粒子であり、その質量は10-38 g(グラム)程度の極めて小さな値を取る可能性が高い。